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松永 武
JAERI-Review 2002-021, 101 Pages, 2002/10
河川流域における放射性核種・微量有害元素などの移行挙動研究課題の意義と手法について今日的な観点から整理した。原子力施設起因の放射性核種を対象とした河川流域における移行挙動研究は、事故時の大気放出により陸上環境が汚染した場合の影響評価と対策技術を実現するために必要である。その目的には数値モデルが必須であり、数値モデルの作成が鋭意進められるべきであると考える。そこで得られる成果は、大気圏-土壌圏-水圏における微量有害元素の物質循環や水系の汚染機構に関する定量的な解析にも有用と考えられる。継続する大きな消費のために将来の環境問題発現が懸念される金属類元素については、その環境中の挙動が放射性核種と多くの面で共通するので、特に応用が期待できる。研究手法に関しては、原子力科学分野において育成されてきた放射性同位体利用等の技術が大いに活用できると考えられる。
上野 隆; 天野 光
Proc. of Int. Workshop on Health and Environmental Effects of Mercury due to Mining Operations, p.178 - 189, 1997/00
日本原子力研究所では、原子力の平和利用及び環境安全評価の観点から、環境中の放射性核種等の分布・移行に関する研究を行っている。このためには、種々の環境試料中の放射性核種のみならず安定元素(重金属・有害元素等)についても研究し、同等に評価することが必要である。この研究に至るステップとして、これらの元素の環境中の濃度レベル(特に、バックグラウンドレベル)及び分布の把握が必要である。そこで、今回は、茨城県の原研構内及びその周辺において種々の環境試料を採取した。人の髪の毛の試料は原研の職員及びその家族から採取した。その測定の結果、人の髪の毛中の水銀濃度は1.5~6ppm、原研周辺の大気中の水銀濃度は0.3~2ng/m、表面土壌中水銀濃度は0.04~0.1ppmであった。その他、これまでに得たフォールアウトサンプル等の結果についても報告する。また年輪分析により過去の水銀系農薬による環境汚染が評価できた。